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第1回『仮想地球』研究会のおしらせ


第1回『仮想地球』研究会

このたび,「『仮想地球』研究会」を,1〜2ケ月に1度の割合で,シリーズ研究会として発足させる運びとなりました.研究会の趣旨は,さまざまな分野における主題的, あるいは地域的な研究の成果を繋げていくことによって,地球・地域における自然史と人類史とを,『仮想地球』として統一的に描き出すことをめざしています.
第1回目は,「地域原人の描く神話的世界」と題して,下記の要領で開催いたします.
『仮想地球』研究会へのご加入,およびご参加をよろしくお願いいたします.

日時:2008年3月25日(火)13時より18時
場所:京大会館102号室

総合司会: 新井一寛 (大阪市立大学都市文化研究センター・研究員)

■ 13:00 - 13:30 「『仮想地球』研究会へのお誘い」
荒木 茂(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授,『仮想地球』研究会・代表)

特集: 「地域原人の描く神話的世界」
■ 13:30 - 14:30 「地域マンダラをえがく—心象図法による実践とそのこころ,そして地域原人へ—」
上田洋平 (滋賀県立大学地域づくり調査研究センター研究員)
14:30 - 15:00 質疑応答および休憩10分

■ 15:00 - 16:00 「八ヶ岳山麓の縄文中期土器図像と中世諏訪社の蛇体祭祀—原初の水と雷(いかずち)=蛇体循環—」
田中 基 (多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員)
16:00 - 16:30 質疑応答および休憩10分

■ 16:30 - 18:00 総合討論 「地球と神話が拓く世界」
司会: 大石高典(京都大学大学院理学研究科・博士後期課程)
コメンテータ: 
黒田末壽 (滋賀県立大学人間文化学部域文化学科教授)
竹川大介 (北九州市立大学教授)
高谷好一 (聖泉大学教授,京都大学名誉教授)

発表者プロファイルと要旨:

上田洋平(うえだようへい)氏:滋賀県立大学地域づくり調査研究センター研究員.耳の会主宰.環琵琶湖生活圏人と地域研究会世話人.「知恵の地産地消」「産土の知の復権」を合言葉に地域文化復興運動を提唱・実践している.人々が日々の五感体験を通じて育んできた字単位の地域イメージを,そこに生きる人々が力を合わせて具現化する方法(=心象図法による地域の絵屏風作りとその活用のしくみ)を考案し,その手法を適用しながら数多くの地域社会の活性化に貢献している.
【要旨】心象図法,心象絵図は,「心象」とは言っても,地域に生きる人々の生身,五感を介した極めて具体的な体験,その体験を通じて育まれた—現行の「知識」に対抗するところの—生きられる知や認識の仕方としての「身識」,あるいは「具体の科学」といったもの生成される地域イメージの表現という点に,発想の根元があります.一方で,地域の人々の生身,具体から発しながらも,「マンダラ」という極めて抽象度の高い表現に結びつけたいという志向もあります.つまり,上のふたつの志向性をひとつの「地図」として表現しようという試みが,今回ご紹介する心象図法です.さらにこの先は,身識あって生成される地域イメージを反転させ,地域あって生成される人間像として,神話的な「地域原人」とでも呼びたいような存在イメージを構想し,地域の人々と共にその姿を表現することに取り組みたいと考えているところです.

田中 基(たなかもとい)氏:多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員.考古・民俗=民族関係の季刊誌「どるめん」の編集にたづさわりながら,古諏訪祭り政体の御左口加味などを<古部族研究会>の同人と共に調べる.現在は,縄文中期の土器図像を神話文脈との関連で,<井戸尻考古館>や<縄文造形研究会>の同人と共に解明作業に取り組んでいる.著書『縄文のメドゥーサ・・・・土器図像と神話文脈』(現代書館).
【要旨】今から約5000年前に中部高地を中心に栄えた縄文中期・井戸尻文化と土器図像は多様で,蛇体文・蛙文・ミヅチ文・猪文と人体文の組み合わせで出来ている.そしてそれは『古事記』『日本書記』『風土記』などの神話文脈との対応関係が見出されるに至っている.今回は,蛇体文を中心に三輪山山系雷(いかづち)=丹塗矢=蛇体伝承と土器図像との対応関係を示し,出雲系古社の加茂別雷神社の阿礼神事,諏訪神社の御室神事などの蛇体神事が新石器文化の力動的宇宙像に深く根ざしていることを意味づけたい.